第113章 誘惑は一つの学問

野口凛は目をきらきらさせた。うちの兄ちゃんは、スタイルも顔も実力も揃ってる。だったら遠慮なく魅力を撒き散らして、姉さんをこっちに奪い返すべきだ。

野口颯汰は、ワインレッドの深いVネックを着ていた。下はぴたりとした黒のスラックスで、鍛えられた太腿の硬さまで浮かび上がる。

いつもの穏やかで禁欲的な雰囲気に、どこか危うい色気が混じっていた。

颯汰は自分の格好を見下ろし、たぶん頭がどうかしている、と本気で思った。凛の言葉を信じた自分が信じられない。

こんな服装で、本当に南坂海乃を惹きつけられるのか。

「姉さんが起きたら分かるって」

凛は寝室のほうを指さした。

「先生が言ってたよ。問題な...

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